03/05 小指物語

小指物語 (幻冬舎文庫)

小指物語 (幻冬舎文庫)

ビルの屋上から飛び降り自殺をしようとしていた主人公に、小指の曲がった男が「死ぬ前に他人の自殺を見るべきだ」と声を掛ける。男はネットで噂されている「自殺屋」だった。小指と名づけた自殺屋に連れられ、「死なない自殺」を目にすることになった主人公。その自殺の方法とは?小指の正体とは?…と言うお話。
元はネットの連載ということもあってか、サクッと読めます。よくそんなこと思いつくなあという発想に感心しつつも、だからこそもっとがっつり描いて欲しかったなあと言う気もしてしまったり。うーん、でもこのライトな感じが良いのかも…とも思う。哲学めいた発想を平易な言葉で綴ってくれるのでとってもわかりやすい。そんなことはダメだよとかみんなが悲しむよとか、そんな薄っぺらい言葉より小指みたいな言葉の方が今の若い自殺志望者には伝わるんじゃないかなあ。
そして、小指や俗物くんはもちろん、Kや紫なんかの登場人物が濃い!とくにKを筆頭にした精神病院組がすごくよかった。ハタから見たら狂気じみているのだろうけど、彼らはきっと誰よりも幸せだったのだろうな。スカイツリーにまだ行けてないので行ってみたいな。
今こうしてストーリーやキャラクターたちを思い返してみると、ほんと、よく思いつくなあとしみじみしてしまう。