02/17 写楽 閉じた国の幻(上)

写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫)

写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫)

江戸後期に10ヶ月間だけ活躍し、消息を断った浮世絵師・写楽。現在は能役者の斉藤十郎兵衛であるという説が有力とされていますが、本作では没落しかけた日本美術の研究者が写楽の正体に迫ります。実在する資料を基に描かれているようで、若干強引な解釈もありつつも、「そうなのかも」と思わせてくれる筆力はさすが。
謎解きメインの現代編&当時の様子を語る江戸編が交互に描かれているのですが、江戸編の粋な江戸っ子たちのやり取りがテンポがよくて楽しい。そしてやっぱりこの人の文章は読みやすいなあ。わたしは話の本筋と関係のない描写が続くと「えーこれ伏線なの?いらなくね?」とか思ってしまうんですが、この人の文章は多少脱線しようが独白が続こうが普通に読めてしまう不思議。事故がどのように後編に繋がるのか気になるところ。
しかしこの主人公、体調悪すぎなんだけど大丈夫なんだろうか…。盛大にぶっ倒れすぎて心配になるレベル…。